2008年04月 ARCHIVES

偶然の海への誘い

風の強かった先週末でしたが、BEACH MARKETもあってひときわ賑わいました。その機会にスライドショーをしてくださったsaeさんのお話には印象に残ったものが詰まっていました。そのひとつが、サーフィンをますます楽しく紡ぐヒントをもらったメンターの話し。一人で海に向き合うことの厳しさをたたきこまれたのはマウイの古矢ヒデミさん、エレガントに波と戯れることはここBEACHの代表のROKUから。そして、遥か遠くから伝わったエネルギーであるかもしれない波を大切にすることは、河村マミさんでした。(マミさんにはこの土曜日にサーフトリップの映像に合わせたライブをBEACHでご披露いただけますよ。)

自分が幸運にも得た経験をまた他の方へとシェア。そして再確認できることって素敵なことだなと思います。そんなこともあって、これからもっと海にかかわりたいと想っている方に向けて、ちょっと長いのですが、お伝えしたいことをつづります。

ハードルにぶち当たり悪戦苦闘、四苦八苦の時から、ある瞬間にそこを突き抜けるようなことがあります。それは、時にメンターの言葉だったり、「これだ!」という閃ききだったり、または偶然ということもあるでしょう。瞬間的に体内の血が入れ替わるような衝撃とまではいかなくても、コトの大なり小なりはれど、そんな経験を何度となく繰り返しながら生きているのではないでしょうか。
海は、じつにそんな瞬間を重ねやすいところです。

10年ほど前のことです。青い空に立ち伸びるココヤシがゆらゆらと揺れるサンゴ礁の島で黒蝶真珠の養殖場で僕は仕事と生活をしていました。期待していた波乗りのポイントには簡単にアクセスできず、深海からいきなり干上がるほどの浅瀬で横一直線に怒涛のように砕け散る波しぶきを眺めていました。そんな海の反対側には、穏やかなラグーン(内海)がありました。

朝7時から午後3時まで、途中1時間の休憩を挟んで、ラグーンの上に建てられた小屋の中で、ただただひたすら黒蝶貝に真珠の核入れ作業に向き合う日々。その後は、後日どの貝たちに核を入れるか、ラグーンの海へ潜っては観察します。スキューバダイビングで、です。貝の沈められている水深10mから15mほどのところで潜って作業をしていると、タヒチアンたちはエアタンクも背負わずに、水中マスクと足ヒレだけで、涼しげな顔をしてやってくるのです。そのシンプルな様は、なんとも優雅なものです。

では、自分はといえばスキューバのライセンスをとる時から耳抜きがうまいこと出来ず、時間的余裕のない素潜りなどは到底身につけられないものと捉えていました。とはいっても、せっかく海に囲まれた生活をしているのだから、ある程度は素潜りをできるようにとトライ。その度に耳がキーン、グッ、グッグ・・・。。アタッタタターとばかりに全くもって進歩ナシの状態が続き、海面をただただ泳いでいるとコバンザメがくっつこうとやって来ても、一向にくっつくわけもなく、なんだお前は海のモノではないなと去っていくのすら惨めに感じていました。

自分は体質的に耳抜きがしにくいから素潜りは難しいんだな、とやがてはすっかり半ば諦めてからのことでした。ラグーンの中にある小屋の橋ゲタには、管理するために紐で数珠繋ぎとなった黒蝶貝がいくつか引っかかっていました。ある日、水の中の橋ゲタに立ちながら引っかかっている貝を引き上げていたときのことです。小屋の前にあるスノコの上にあげようとした瞬間に、橋ゲタから足を滑らせた僕は貝の重さによって、静かに海の中へと誘われていきました。頭が上で身を立てたまま沈んでいったせいでしゅうか。水底まで沈むゆく時間が、冷静というより心地よさすら感じていました。水底にすっと着地すると、身体をぐるりと360度回し、小さな小さな無数の気泡が輝きを放ちながら昇るその先には、ゆらゆらと揺れる天空のような水面きらめいていました。そして両手の先にある貝に「ありがとう」と告げ、ゆっくりと水底を蹴り上げたのでした。昇る泡の数々を追うように水面に出て、お腹いっぱいに空気を吸った瞬間、自分がこれまでとは違う何かに生まれ変わった気がしました。それは間違いではありませんでした。それ以降、海に潜っても難なくして耳抜きができるようになり、養殖のための黒蝶貝が沈めてある程度の深さを行き来できるようになったのです。

水の中へと願う一方で、抱えていた恐れや不安を敏感に身体は反映していたのでしょう。ところが偶然からもたらされた経験によって、あるところまでは水の中へ潜ることは不安はないとインプットされたのです。この幸運な経験は、自分にとっていくつかの教訓のうようなものを示してくれたと受け取っています。
いずれにせよ、海を主体的に経験することは、メンターの言葉や良書を読書をするのにも劣らない、その後の人生に生かすことのできる貴重で、素晴らしいものを得られるとこです。さあ、海開きを7月まで待たずに、より深く海とのかかわりにトライしてみませんか。

PS:タヒチの黒蝶真珠の養殖のイメージはこちら、Tim McKennaのWEBサイトです。


心にとめたいこと

昨夜から続く雨の朝。地や木々の根に水が吸い込まれるように、入ってきたものがありました。ダライ・ラマ氏の言葉です。これにあるように幹をつくり、葉を茂らせたいものです。


Instructions for life
より良い人生のために

1. Take into account that great love and great achievements involve great risk.
偉大なる愛と偉大なる成功には、大いなる危険が伴うことを忘れないように。

2. When you lose, don't lose the lesson.
もし負けることがあっても、そこから得られる教訓を見落とさないように。

3. Follow the tree R's:
- Respect for self
- Respect for other's and
- Responsibility for all your actions.

3つのRに従うこと。
−自分自身を敬うこと
−他人を敬うこと
−自らの全ての行動に責任を持つこと

4. Remember that not getting what you want is sometimes a wonderful stroke of luck.
欲しいものが手に入らないのは、あるいは幸運の女神の微笑みなのかも知れない。

5. Learn the rules so you know how to break them properly.
ルールを学べば、それらを正しく破る方法が分かる。

6. Don't let a little dispute injure a great relationship.
ちょっとした口論で、大切な関係にヒビを入れないように。

7. When you realize you've made a mistake, take immediate steps to correct it.
間違いに気づいたら、すぐにそれを修正する行動を起こすこと。

8. Spend some time alone every day.
毎日、ひとりになる時間をつくること。

9. Open arms to change, but don't let go of your values.
変化を歓迎すること。ただし自分のいい所まで変えてしまわないように。

10. Remember that silence is sometimes the best answer.
時には沈黙が最良の答となることを覚えておいてほしい。

11. Live a good, honorable life. Then when you get older and think back, you'll be able to enjoy it
a second time.
清く正しい人生を送りなさい。そうすれば年老いて自分の生涯を振り返った時に、再びその人生を楽しむことが
できる。

12. A loving atmosphere in your home is the foundation for your life.
家庭に愛が満ちていることが、あなたの人生のよりどころとなる。

13. In disagreement with loved ones, deal only with the current situation. Don't bring up the past.
愛する人と衝突した時、目の前の問題だけを解決しなさい。過去を持ち出さないように。

14. Share your knowledge. It's a way to achieve immortality.
知識を分かちあいなさい。みんなの心の中で永遠に生き続けるために。

15. Be gentle with the earth.
地球にやさしくしなさい。

16. Once a year, go someplace you've never been before.
一年に一度は、今までに行ったことのない場所を訪れなさい。

17. Remember that the best relationship is one in which your love for each other exceeds your need
for each other.
最高の関係とは、お互いのニーズが合致している以上に、お互いが愛し合っていることなのだ。

18. Judge your success by what you had to give up in order to get it.
成功したかどうかは、そのために何を手放さなくてはならなかったかで判断しなさい。

19. Approach love and cooking with reckless abandon
愛と料理にのぞむ時は、何もかも忘れ、かなぐり捨てて燃えなさい。

いい季節になりました

晴天だった先週末は、太陽で灼けた砂浜を裸足で歩くと熱々でした。

そうなると吹くのがサーマルウインド
地表が熱せられると、熱せられた空気は上昇し、
その隙間に海から風が吹き込むというものです。
気温の上昇する昼頃からこの風が次第に強くなり始め、
この季節ならば日没前にはだいぶ弱くなるのが常です。

また逆にいえば、午前中は風が弱い時間帯となっています。

午前は風が弱く、昼近くになると風が強まることで想いおこされるのが、
「風と波の島」といわれるマウイ島。
ここには一年を通じて東から西に向けて貿易風が吹きつけていますが、
朝と昼ころでは海の様相は様変わり。
朝方は風のないクリーンな波でサーフィンを楽しみ、
風が強まるにつれてポイントをしめるようになるのが
ウインドサーファーです。

僕自身は、ウインドサーフィンではなく、風が吹き出すと、
ダウンウインド(風下り)のコースをカヌーで幾度ばかし
楽しんだことがあるだけなのですが、カイトサーフィンを含め、
いろんな楽しみ方がありますよね。
海や風、波といった自然の状態でいかに適応するか、
そんな姿勢からは学ぶところが多いと思っています。

とはいってもそうは時間的なゆとりがないと出来ないことかもしれませんね。
実際は海のそばにいてもバタバタとしているのが常ですが、
ふとした時に手に取る本によってはゆったりとした気持ちになれたります。
マウイに実際にある家をモデルにした雰囲気たっぷりのこんな本を手にとったまま、
zzzzz・・・

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そう今週末ははじめてウインドにトライできそうです。
『はじめてのウインドサーフィン』、コンディションに恵まれますように!

カヌー、つながりとひろがり

今から8年前の2000年のこと。
ハワイから2艇のOC6(6人乗りアウトリガーカヌー)がOCCJの活動する葉山大浜に到着。
そのうちの1艇だった赤いカヌーが、久々に海に出て、
いきいきとしているところに先週末、出会った。

そのカヌーを漕いでいたのは、静岡でアウトリガーカヌークラブを始める
一ノ瀬健太くん達。
何やら楽しことに今月末から葉山から相模湾を西へ西へと向かい、
伊豆をぐるりと回って、駿河湾の清水三保まで200kmを漕いでいくという。

その日は、その為の第一回の練習だった。
健太くんからは「一緒に漕ぎましょうよ!」と、カヌーの漕ぐものとしては、
一番うれしいコトバ。

今も湘南にあるクラブが目標とする、コナレースやモロカイホエも全て、
この赤いカヌーがあって始まったもの。多くの人が思い入れや感謝をもっている
カヌーが、新たな航海に出でて、新天地で活躍してくれるのだ。

日本の風土に少しづつ根ざし、津々浦々にカヌーがある光景が見られるようになる。
そんな日も夢ではないかもしれない。

江ノ島の西浦には、素晴らしい情熱をもったクラフトマンの腕によって復活した
カヌーを含めてすでに4艇のOC6がある。
オハナホエが活動する逗子にも、来月2艇のOC6が登場するという。
また、千葉の館山にはやはりあの赤いカヌーに一緒に乗っていた仲間が
アウトリガーカヌーを使った活動を始めている。

急ぐことはないけど、誰もがカヌーとかかわえるような環境や社会、生活になれば、
悪いことにはならないだろう、そんな気がする。

水の惑星というけれど

実際に私たちが利用できる水はおもいの他、少ないのですね。

南太平洋の珊瑚の環礁島で天水をためたシャワーのことを。
雨の降らない日がつづくと、毎日チョロチョロとしか浴びることのできませんでした。
それから、ソマリアでの難民キャンプでのことを。
そこには、飲むだけでもギリギリの水しかありませんでした。
身体を洗ったり、モノを洗ったりする衛生のために利用できる水の量はなかったのです。

海から緑に覆われた山をながめると、コンクリートで灰色の地よりも、
ずっとずっと救われた気持ちのようになります。
緑あるところには、飲むことのできる水があることを、
きっと本能的に知っているのでしょう。

緑の森を大切にするのと同様に、
身の回りにある水の使い方を見直してみると、できることはありそうですね。
天水の利用、ちょっと始めてみます。