2009年04月 ARCHIVES

vol.3 西條 智子さん BEACH CAFE <3>5つの質問

東京での暮らしから、逗子へ引越し。
人生を大きく分けた、この選択があったからこそ。

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小さいときから、東京の下町に住んでいながら、
木々の緑の気配や空気の変化など、四季に敏感だったと語る西條さん。

生まれ育った柴又は、隣のおばちゃんがガラガラと扉を開けて入ってくるような、
遠慮がなくて、つながりの強い土地。それはそれで、嫌いではないけれど、
今は、海の近く、山の見える家に住んでみて、心からしあわせな状態を
味わっていると言います。

東京での暮らしから、逗子へと引越しを決めるまでは、実はさんざん迷ったそう。
けれど、鎌倉に住み、同じように東京でスタイリストの仕事をしている友人の家を
度々訪ねるうちに、遠いと思っていたこの土地が、すこしずつ近いように思えるように。
それは、実は距離よりも、西條さんの心がこの土地にぐっと近づいたからかも。
「もしかしたらできるかな・・いやいや難しい、でももしかしたら」と迷った末、
9年前に逗子に引っ越すことを決意しました。

結果は、大正解。
山と海があることですべて変わる。窓から見える景色がこんなに人生を左右するなんて。
仕事が早く終わった日は、まっすぐ家に帰り、缶ビールやワインを持って、海に行く。
家のこんな近くに海があるなんて。その喜びで、休みになってもどこにも行きたくなくなった。
実際、花粉症も治ったし、風邪もひかなくなったのだとか。

西條さんは、実は最初BEACH HAYAMAの会員さんでした。
オープンしてしばらく、ずっとやりたかったYOGAのクラスを受けたくて会員に。
東京でも行っていたのだけれど、鏡張りのスタジオがどうにも苦手。
真面目にやればやるほど、自分の姿が滑稽に思えて、思わず笑ってしまう。
BEACHのクラブハウスは、鏡がないのが嬉しかった。
そして、もし仮に笑ってしまっても、それを気にするような先生がいないことも。
YOGAや太極拳、ストレッチやトレーニングなど、時間を見つけては出席するようになった。
やっと念願が叶った上に、体の変化も感じているそう。

「呼吸だけでも、こんなに違うんだぁ、と実感しています。
体だけじゃなくて、気持ちがまず変わってくるのが分かる。
仕事で、もしイラッとしそうになっても、鼻呼吸でふうっとラクになります」
本来、正義感の強いタイプで、30代半ばまでは、仕事現場でも厳しい面があった。
バブル時代とも重なって、天狗になっていたこと。忙しくて、家族のことも大切にしていなかった。
可愛がっていた猫の病が末期になるまで、相手をしていなかった。
今思うと自分自身、最悪だったと西條さんは振り返ります。

40代の日々を満喫する姿。多くの女性が憧れるような暮らしは、
西條さんの真面目な努力と、それぞれに対する誠意なしには、
手に入れることができなかったかもしれません。

「今は、こうして、東京から1時間ちょっとで逗子に戻ってくることで、
On とOff の切り替えがはっきりできるようになったから」と
昔のことを思い出しつつも、謙虚に笑って西條さんは語ります。

西條さんを素敵に感じる一番の理由は、なによりその心のバランス感覚にあるのでしょう。

そんな西條さん率いるBEACH CAFEは、これからもみんなの居場所として、
胃袋を心を満たす場所として、さらに発展の予定。

新たにカフェスタッフに加わった山口シェフの作る料理も楽しみ。
GWころからは、DINING BARとしての営業もゆるゆると始まるということです。

西條さんへ、5つの質問

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vol.3 西條 智子さん BEACH CAFE <2>Photo Album

「どうして、カフェを始めたのですか?」
ヘア&メイクとして、ベテランと呼ばれる最盛期に、仕事をセーブしたといっても、
やはり絶対量は増えるだろうし、ましてや、逗子から東京や海外への仕事も多いのだから。
撮影の仕事のある日以外は、カフェにいるとのこと。
生活のリズムは大丈夫?

そんな心配をよそに、西條さんは笑いながら、
「カフェは思ったより、ずっと大変だった。でもね、とっても新鮮なの」と
いつものゆるーい感じで答えてくれました。

「時間が不規則なヘア&メイクの仕事に比べると、ここには変わらない日々がある。
毎日同じくらいの時間に帰って、夕方、海を散歩する。
昼間に、天気がいいとか、風が吹くとか感じられる生活は、
初めての経験で、不思議な感じなんです」
確かに、この感覚は、雑誌の編集者をお休みしている私も同感。

「それに、お料理が大好きだし、
作ったものをみなさんに食べてもらえるのが嬉しいし、楽しい。
どこかの何かと比べられても困ってしまうけど、
お弁当より、あたたかいもの、くらいの感覚で食べてもらえれば・・・」

このおおらかさは、どこから来るの?
只者ではない西條さん。その半生を写真で紹介します。

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1963年、東京、葛飾柴又で、三人姉妹。
西條さん、実は二卵性双生児。
写真は、帝釈天で、シャッターを押す瞬間に、ふたごのお姉さんと
手に持ったりんごを同時に見たという、不思議な光景。
帝釈天は遊び場。参道の店はほとんどが幼馴染。

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子供の頃の写真は、自分でもどちらがどちらか見分けられない。

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昭和のお正月。ふたごちゃん、可愛い!!

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独立して、フリーのヘア&メイクになったころ。
真剣な眼差しの上に、80年代ならではの太い眉が。

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20代後半から日光アレルギーになってしまい、今は日焼けできない。
それ以前は真っ黒に日焼けしていた。仕事で訪れたセブ島で。

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トム・クルーズが、映画のキャンペーンなどで来日の際は、メイクを担当。
キャメロン・ディアスほか、外国人セレブのお仕事も。
超多忙の時期。過労で死にそうな思いをしながらも充実した日々。

一流のヘア&メイクアップアーティストから、
BEACHのCAFEまでの道のりを、西條さんに聞きました。

猫の死に教えられた、大切なこと


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vol.3 西條智子さん BEACH CAFE <1>

ちゃきちゃきの下町っ子、海の近くに住む

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BEACH HAYAMAのクラブハウスには、オープン以来、ほんとうによく通っています。
プログラムに参加することもあれば、
常連のメンバーや、仲のいいスタッフたちの顔があるかな・・・なんて、ちょっと覗いてみることも。

そんなふうに顔を出すと、必ずそこで会える人がいる。
それが、BEACH CAFEの西條さん。
最初は、友達の友達で、なんとなぁく知っていたものの、挨拶程度の知り合い。
顔を出すたびに、カフェのカウンター越しに、二言三言、言葉を交わすようになり、
ついには、西條さんの顔を見ることでBEACHに来た実感というか、ほっとするというか。

実は、西條さん、本職は雑誌やコマーシャルで活躍する、ベテランのヘア&メイクアーティスト(H&M)。
海外での仕事も多く、東京と逗子を行き来する毎日の中で、カフェの仕事も始めたという。

先日、春分の日に由比ガ浜で企画していたイベントのお知らせメールを西條さんに送ると、
即、返信のメールが届きました。

「こんばんは、なんだか面白そう」という件名とともに、こんな内容。

「ですが、その日はbeachでランチ、と、土日の仕込をしてをやって、
夕方4:30過ぎ位からbeach hulaメンバーが品川付近のライブハウスで踊るらしく、
メイクやってあげる約束をしていて、
19:00過ぎからは撮影が松涛スタジオで入ってるのです。
お時間あえばいいのですが.、。でも友達にも声かけときますね」

ひぇぇ。どう考えても、由比ガ浜に寄っている暇はなさそう。
どうぞご無理なさらないで・・・と思いつつも、仕事も、人のことも、
たっぷりの誠意が感じられたこのメールで、
西條さんが、ぐっと近い存在になった。

森に棲むバンビのようなキュートな雰囲気と、
会う人を和ませる心地よいゆるさ、
そしてもうひとつ「姐さん」と呼びたくなるような、
人情に厚い一面が、西條さんのイメージに加わった。

西條さんって、何者??

マスコミ業界で長年活躍した女性のステレオタイプ的な感じとはまったく違う。
私自身もマスコミの端っこで仕事していたこともあり、飲食店を開いたという共通点もあり、
何か同じ匂いを感じつつも、憧れのまざった好奇心がメラメラと湧き上がった。

BEACHのクラブハウスのカフェ=食の柱を支える西條さん。
バリバリと音を立ててもよさそうなくらい仕事をこなしながらも、
大好きな山や海の暮らしを心から楽しみ、
忙しい毎日を、一見、ゆらゆらと流れるように生きている女性。

20代、30代を経て、40代を素敵に全力で生きる彼女に、
今回は、お話を聞きました。

西条智子さん・プロフィール

1963年6月18日生まれ O型
東京出身 葛飾柴又で育つ。
美容師専門学校を卒業後、青山のサロンに勤務。
H&Mのアシスタントを経て、
フリーのH&Mアーティストとして20年以上活躍。
2007年より、BEACH HAYAMAのクラブハウス内で、
CAFEを運営。現在は「2足のわらじ」で活動中。
結婚し、逗子に住み始めてから9年。
緑に囲まれた逗子の山の上に先週引っ越したばかり。