年末年始 回想録vol.3 「正味4日間の波乗り日記」

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HONOLUA BAY

<2日目の朝>
昨日の夜吹いていた強い風がやんで、
夜明けとともに鳥の声が心地よくなき始める。

ステイしているパイアは、マウイ島のノースショアにあたり、
ウィンドサーフィンのメッカでもあるほど、風がある地域なので、
サーフィンを楽しめるのは、その風が吹かない早朝。

「もしかして」と心を躍らせながらベッドから抜け出すと、
ちょうど、ここTradewind beach house のオーナー小笠原康人さんが
海に連れて行ってくれるから、と友人が起こしにきてくれた。
小笠原さんは、マウイに20年以上住んでいるプロウィンドサーファー。
もちろん、海にまつわるスポーツはなんでもこなす、海人だ。

「よかったね。昨日から波が入り始めたんだよ。
風も止んでるし。今すぐ行けば楽しめるよ」と。

時差ぼけのひどい顔を友人に笑われながら車に乗り込み、
マウイ島の中でも、パワフルな波の立つHO'OKIPA (ホキーパ)へ。
うまく風をかわしていて、大きいところで波は頭オーバー。

ホキーパの水量が多くて力強い波は、巻かれたときのパワーもすごい。
見ているだけでも、「今日は入ってくるな」といわれているような気がして、
足がすくんでしまうほど、おそれ多い海。

「今日の海はなんだか優しいでしょ」と小笠原さんの言うとおり、
海は機嫌がよさそう。
久々のグッドコンディションの波にサーファーたちも
穏やかな雰囲気で、でも真剣に波乗りを楽しんでいる様子。

上手い人たちの集まるところから、少しはずれた人のいないポイントで波を待つこと数分。
いけるかな、と思った波に思いっきりパドルして、すぐにテイクオフ。
次の瞬間、すでに波は大きなうねりを反らすようにほれていて、
一気に滑り降りる。必死にボードをグラブして、とにかくレールをいれなくては・・・・

ふうっーーー。冷や汗をかきながら、なんとか一本を滑ることができたのが、
今日のギフト。そのあと、波が大きくなるのと同時に、人も増えてきて、
あえなく退散。
大きな波に巻かれ巻かれ、岸まで戻ってきました。
しかし、ホキーパに入れただけでも有難く、ハイパーになると同時に、
緊張も解けてどっと疲れが・・・。

<4日目の午後>
マウイに来たら、どうしてもこのポイントを見ないでは帰れない。
そう思うのが、HONOLUA BAY
波質が高く、世界中のサーファーの憧れとも言われるホノルア・ベイに、
ほんとうに大きな波が立つときは、プロ級のサーファーしか入れない、
これまた畏れ多いポイント。

だから、波があるようにと祈りつつも、
「どうか、小さくって、私が入れるくらいの人口密度で・・・」
など、複雑なお祈りをしてしまいがち。

今日はラッキーなことに、インサイドの最後のところで、
肩くらいのきれいに割れる波。
遠い沖のポイントから、大きく美しい波にのってくるサーファーの技に見とれながら、
そのおこぼれを楽しむ。
茶色の岩の断崖と、遠くから届く波のラインナップ、
湾になった岸で大きく手を振るパームツリー。
空と雲と太陽、そして雨と風が、ただただそこにある。

まるで自然の力に見守れらて海に入っているような感覚。
パーフェクトな形で崩れ続ける波に合わせて素早くテイクオフすると、
岸に向かって、心地よいスピードで、長く、長く運んでくれる。
この海に入るたび、改めて思い出させられる不思議な感覚だ。